船舶やあの”ハロ”も? ドローンで変わる技術産業

ドローンがブームになり始めて数年経過しましたが、最近のドローンの進化の速度が速いせいもあり、実に様々な用途で利用されるようになり始めてきました。世界シェアNo.1のDJIを筆頭に、様々な企業がドローン産業に参入を表明し、開発競争も激化しそうな雰囲気を醸し出しています。

 

つい先日のこと、ペルーの文化省が「ナスカの地上絵」をドローンで撮影し、新たに25以上もの地上絵を発見するに至ったニュースが世界を駆け巡りました。これまで人類が辿り着けなかった未開の領域に、ドローンであればいとも簡単に侵入することが可能なわけで、まさに技術のなせる業であると言えるでしょう。

 

今回はドローン産業にフォーカスし、変わりゆく産業について紹介していきます。

 

 

 

空撮を楽しむためのドローン

 

やはりドローンと言えば、はるか上空からの空撮映像が撮れることが最大の魅力の一つでしょう。従来はヘリコプターやスカイダイビングなど、大型の機材や多額のコストをかけて挑まなければならなかった空撮映像が、ドローンであればだれでも簡単にきれいな映像を撮影することができるわけです。

 

空撮用のドローンは、日本国内の法律上では大きく2つに分類されます。

 

1つは「トイドローン」と呼ばれるもので、どこでも誰でも何の許可も不要で飛ばすことができる、いわゆる「おもちゃの延長」の製品です。規格としては本体重量が200g未満のものであること。これが条件です。

 

トイドローンは家電量販店でもたくさん売られています。有名なもので言えば、Ryze Robotics(ライズロボティクス社)の製造する「tello(テロー)」が挙げられます。世界No.1のDJIにライセンス提供を受け、インテルのCPUを搭載し、わずか80gのボディサイズながら、誰でも安定したフライトと撮影を楽しむことができる本格派です。

 

またセルフィー(自撮り)のために特化したドローンなども販売されています。
最近ではドローンレースなる競技も多く開催されるようになり、その練習機として、また入門機としてトイドローンを購入する人も増えています。

 

2つめは航空法により規制がかかる本格的なドローンです。

 

本体重量200gを超えるドローンは全てこれに該当します。航空法で飛行場所や飛行方法が規制されており、特に「人口密集地域」においては、たとえ自身の所有する自宅や土地の上空であっても、事前に国土交通省の許可を得なければ合法的にフライト出来ない、という規制が働きます。

 

しかし、これらのドローンの多くが本格的なフライトや撮影のための仕様に仕上がっているため、非常に高性能なものが多く存在しています。

 

 

 

たとえばDJIのエントリーブランドである「MAVIC」シリーズにおいては、4K30fpsの動画撮影が可能だったり、3軸ジンバル(カメラを常に安定させるための装置)を搭載することでフライト中も全くブレのない綺麗な映像を収めることができたり、ある程度の強風下であってもホバリングし続けることができる安定性を持っていたりと至れり尽くせりなのです。

 

日本国内では高度150m以上の空域の撮影は原則できませんが、市販されているドローンの多くはこの高度まで簡単に上昇し、また最長4Kmもの長距離のフライトを実現できるなど、想像を超える性能を誇っています。

 

ドローン本体についてはまた後日、別な記事で詳しくご紹介していきたいと思いますが、こうした技術の進化により、これまで不可能だった場所での撮影が出来るようになったわけです。

 

高精度な空撮映像により、様々な活用事例が見られます。

 

・古い建築物の老朽化所を発見する。城やビルや橋脚などの破損個所など。
・山間部や河川の調査により、崩落や決壊の調査に役立てる。
・空撮により交通状況の把握を行い、渋滞のメカニズム解析を行う。
・観光地の目視できないポイントからの撮影により観光誘致に役立てる。
・地形を分析することで、災害メカニズムの解析に役立てる。

 

空撮用ドローンには、測量のためのドローンも存在し、実に詳細かつ精密な測量を行うことも可能です。

 

 

 

産業ドローン

 

経産省が発表している新産業構造ビジョンにおいて、「インダストリ4.0」に相当するものや「ソサエティー5.0(超スマート社会)」の実現のためのドローン活用などにも注目が集まっています。スマート農業、iコンストラクション、未来投信戦略2017など様々な政策への寄与が期待されています。

 

例えば農業においては農林水産省が提唱する「スマート農業」において、農薬散布用ドローンなどの導入が順次進んでいます。国交省では「iコンストラクション」における防災・社会インフラ維持などに期待が寄せられています。

 

IoTの領域においても産業用ドローンは期待されています。

 

ドローン=飛ぶもの、と思いがちですが、クルマ型のもの、ボート型のもの、動物のような脚があり歩行するもの、ロボット型のものなど実に様々です。IoTにおいては、「移動するIoT」として、物流を支えるソリューションとしてドローンを活用する動きが高まりを見せています。

 

例えば発注されたものが、倉庫から集荷センターに集まり、そこから個別配送され、その荷物を、例えば動く宅配受領ボックスで受け取り、宅内の人に届けるというイメージのように、配達物や、運搬路、運搬車両や飛行体、倉庫や宅配ボックスなどは、IoTでセンシングと制御をされ、動くIoTとして全体での効率的運用がなされるような仕組みの構築にドローンが貢献するというものです。

 

 

ドローンの活躍事例

 

まだ記憶に新しい東日本大震災。大きな犠牲を出してしまった福島原発においてもドローンが活用されています。人が侵入することができないほどの放射線量の領域を、ドローンであれば安全に侵入調査することができるわけです。

 

高精細のカメラや調査機器を搭載したドローンが、原発内部に潜入して撮影された映像に衝撃を受けた方も少なくないと思います。

 

 

 

海の上を走るドローン船。

 

ドローンは飛ぶものだけでは無いと前述しましたが、船のドローンも存在します。活用事例として有名どころでは2017年にSpaceXが海洋上でFalcon9という打ち上げロケットの1段目の回収をドローン船で行い成功した、などといった事例があります。

 

さらに、あのロールスロイスがドローン船を作っているとの情報もあります。ほぼ無人の状態で運航できる船舶を作ろうという思想の元、ロールスロイスが計画を進めているとのことですが、なぜドローン船は必要なのでしょうか。

 

実は船舶事故というのは我々地上で生活している人たちからすると想像もできないほど高いリスクを孕んでいるからなのです。平均すると4日に一艘の船舶が沈没し、年間で少なくとも2,000人、多ければ6,000人もの船員が命を落としているのだそう。船の事故の原因のほとんどが人的ミスによるものらしく、タンカー事故などでは約88%が人的ミスによるものなのだそうです。

 

そのため安全に運航できるドローン船は多くの期待が寄せられており、実用に向けてロールスロイスを始めとした多くの企業が開発にかかわっているのだそうです。

 

 

 

宇宙開拓においてもドローンは期待されています。日本初の有人実験施設となる国際宇宙ステーション「きぼう」において、JAXAが独自開発したドローン「JEM自律移動型船内カメラ((イントボール))」が稼働しています。

 

筑波宇宙センター(TKSC)からの遠隔操作を受け、内蔵の小型ファンによる風力で自律的に空間を移動し、静止画と動画の撮影を行うことができるのが特徴となっており、宇宙飛行士の作業を軽減するための目的を果たしています。

 

どんなアングルからの撮影も可能ということで、映像はリアルタイムで地上の管制官や研究者が確認し、宇宙飛行士にフィードバック可能だそうで、製造においては既存のドローン技術を採用し、かつ外装(筐体)と内部構造をオール3Dプリントで製造しているとのこと。

 

実は宇宙飛行士の作業時間の約10%程度を「撮影」作業が占めているのです。
そこで作業時間の短縮・効率化を図るため、JAXAは宇宙空間で活動できる「Int-Ball」を開発したというのが経緯の一つになっているわけです。最終的には宇宙飛行士による撮影時間“ゼロ”を目指すとのことで、更なる性能向上・機能拡張を計画しているとのこと。

 

 

まとめ

 

ドローンの技術の向上の裏には、多くの研究開発の成果があるのです。ジャイロコンパスやセンサーなどもそうですね。カメラの小型化や高性能化も同様です。長時間のフライトや駆動を実現させるためのバッテリーの開発も同じく。そしてそれらを支えるITエンジニアリングの成長が無くては、ここまでの産業に至っていないでしょう。

 

これから多くの活躍が期待されるドローン産業ですが、みなさんの中でもドローンに係わる仕事が増えてきたよ、なんていう方もいらっしゃることでしょう。IT企業全般に言えることですが、スタートアップやベンチャーからしても大いなるチャンスを舵させるドローン産業に要注目です。

 

 

 

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