【変革するIT産業①】Uber
ソフトバンクがUberの株式を15%取得というニュースが昨年末に話題になりました。
アナログ産業をIT化することで世の中を変革させていくビジネスの成功事例で、すでに時価総額は8兆円を超え、世界最大のユニコーン企業(時価総額10億ドル以上の未上場企業)となったUber。
今回はUberについて考えてみましょう。
■UBERとは
2016年2月時点、世界68ヵ国400都市へ進出している、世界最大のライドシェア事業者で、その驚異的な成長ぶりから、タクシー業界の破壊的イノベーターとも呼ばれることもあります。
Uberは創業6年で、100年以上の歴史を持つGMやフォードの時価総額を抜くまでに成長した、世界最大のユニコーン企業(時価総額10億ドル以上の未上場企業)です。
ちなみに、日本国内には時価総額8兆円を超える企業は、トヨタ、NTTドコモ、NTTそしてKDDIの4社しか存在しません(2016年8月時点)。この点から見ても、Uberという企業の驚異的な成長には目を見張るものがあります。
■一体なにがそこまで凄いのだろうか?
Uberは配車アプリとしての認知が非常に高いですね。
しかしUberが長期的に目指しているのは、自動運転車が普及する将来、「自動運転車が実用化されれば全てのUberを自動運転車に置き換える」と同社のCEOは2014年の時点で公言しています。
実現されるとすれば、タクシー業界だけでなく、すべての交通機関や宅配事業者も大きな痛手を被るはずです。
それを実現できてしまうほどのポテンシャルを、この数年ですでに実証しているわけですから、あらゆる産業、特に自動車産業もひやひやしているわけですね。
特にそのすごさを象徴する3つの仕組みがあります。
- マッチング・アルゴリズム
従来のタクシーでは配車が遅かったり、なかなか路上で掴まえたりできずに、いらいらすることも多かったはず。
タクシー会社に電話して呼び出してもらっても、時間やコストがかかるというデメリットがありました。
Uberの場合、シェアリングエコノミーで契約関係にある大量のドライバーが街中にいて、ビッグデータ分析から最適なドライバーを選定する技術があるので、GPS付きの配車リクエストをもらえれば、瞬時に最適なドライバーを配車することができます。
このドライバーとユーザーとをつなぐマッチング・アルゴリズムは、来るべき自動運転社会においてもっとも重要な要素の1つになるでしょう。
- UX
アプリを数タップするだけで配車でき、支払いは事前登録のクレジットカードで済む「簡易性」や、配車中のタクシーの現在地を見ることができる「安心感」などが評判を呼び、その結果世界的に普及しました。
- APIエコノミー
Uberはそのライドシェア機能を、他社が簡単に使えるようにAPIを提供しています。代表的なのは、飲食店予約サービスのOpen Table、ホテル大手のハイアット、ユナイテッド航空など。宿泊や航空などのサービスと今をつなぐ全てをUberが担おうとしています。
APIを提供するメリットは、アライアンスパートナーの数を圧倒的に増やし、経済圏を構築すること。そして、各APIを通じて、それぞれのエンドユーザーの行動・志向データを得られることでしょう。これを通じて、Uberはより確度の高い事業アイデアを得ることができ、勝ち筋の良い戦略を立てるという好循環が続きます。
■現代社会におけるニーズを理解したからこそ生まれたサービス
Uberは一般人が空いた時間を利用してタクシー運転手のような仕事を行い、スマホアプリを通じてマッチングした一般人が利用するというライドシェアリングサービスです。アプリで簡単に車を手配できるという手軽さが受け、近年のシェアリングエコノミーの普及とともにサービス地域を拡大。2017年3月現在、世界70ヶ国・450都市以上で展開しています。
アプリを入れておけば世界中で利用できること、クレジット決済なので現金が不要なこと。そして、料金が明確でタクシーより安いこと。チップの心配がいらないこと。などがウケて大ブレイクしていますが、安心面においても充実しています。
通るルートは自分のアプリだけでなく、ドライバーが使うドライバー用アプリでも表示されるので、変なところに連れて行かれたり、高額請求されたりという不安もありません。
厳しい評価システムでドライバーの質が保たれているため、知らない人の車に乗るという不安も解消できます。また、相互評価制度で乗客も評価されるので、ドライバー自身も守られているそうです。
また、Uberのウェブサイトによると、すべてのドライブGPSデータが記録されており、誰が乗っていて、誰が運転しているか分かる仕組みになっているそう。
遊休リソースを有効活用し、ドライバーはお金を稼ぐことが簡単に出来る。お客は手軽に配車できて安価に移動することが出来る、それらをシステムで相互評価し、安全性を担保する。
モバイルが充実し、ITの加速化により様々なことが実現できる世の中になったおかげで、こうしたUberのようなサービスが登場したわけです。
そしてUberはその技術を他社にAPI提供することで、他社に恩恵を与えるとともに、自社のデータベースをより屈強なものへと変革させていくわけですね。